2020年3月2日月曜日

足ふみミシンでGジャンを手作り 春秋用2ndモデル完成!

先日、冬用デニムジャケットを完成させたところだが、着てみて少しオーバーサイズなのとポケットに不満があった。サイズは、フリースを中に着込むと丁度良い。しかし、春になると、フリースもいらなくなるし、シャツだけだと少しだぶつく。春の装いで着るのにはデカく、落ち着かない。

こんな時にも自作だろう(笑)

てなわけで、春秋用のデニムジャケットを作ることにした。

①みんな大好き中華スマホ(愛機:HUAWEI)を格納できる内ポケットが欲しい。
②前回の少しサイズダウンした仕上がり。
③今作は2ndタイプ(胸ポケットが左右二つ)とフラップ。

前作の反省点と概要は以下の通り。

洗濯すると革パッチがまだらに青く染まって汚れた。
 ⇒これ正直、がっかりした。洗濯前にオイルを塗布することにした。

縫い方を見直ししたい部分があった。
 ⇒向上心しかない。

春秋用なので、シャツを着て丁度サイズ。
 ⇒いつもうまくいく俺は天才かもしれない。
 ⇒自分で作る喜び。

今作に予定している生地はずいぶん前に買い置きしていたので出番待ちだった。
幅75センチのセルビッジで、1メートルあたり150円! およそ12.5オンス。手触りはしっかりした印象。糊が効いている。

多分、こんなに安く今後この価格で買うのは難しい。何せ、80過ぎた爺さんが一人でやってた生地屋さんのワゴンにあった格安端切れだった。
もう、その店はなくなった。

今回のジャケット製作のコンセプトもオールシングルステッチ、足ふみミシンはSINGER188Uでキメる。(キメる」というのを使ってみたかった。(笑)

ご存じの方には無用の説明だが、初心者やこれから取り組んでみたいという方、興味本位で読んでくれているごく一部の変質者の方などを対象に、やすやすと理解できない変態ワールドを少し紹介しよう。

俺のSINGER188Uは、ご覧の通りシルバー塗装で渋く決まっている。確か、製造年は1956年ごろの古い、今でも変態関係者の間ではどういうわけか根強い人気のミシンなのだ。
ずいぶん散らかっているが気にしない。


アメリカブランドだが、このミシンは日本製造らしい。当時から世界中でシンガーミシンを製造していたそう。188Uの「U」は宇都宮に工場があったそうな。アルファベットの頭文字を型番につけたらしい。

で、こんな古いミシンでもきちんと作動するし、縫い味も大変よい。整備士(オレ)の腕がいい。(うそ)というより、職業用足ふみミシンがたどり着いた最高水準がこのモデルなのかという評価もなんとなくうなずける。

構造は足ふみミシンのTAという職業用規格のもので、現在のモーター式の職業用(工業用)などの規格と同一サイズだ。家庭用ミシンよりも少し大きく、懐という部分も大きいのでジャケットなど縫うときにくぐらせるのにはこれくらいが丁度いい。

色んなアタッチメントは現在でも手に入るし、使える。豊富な種類がある。それらを使いこなすことが出来ると洋裁の世界が開ける。(はずだ)

針、針板、押さえ金、ボビン・ボビンケース、革ベルトなど、いまだに新品補給部品が手に入る。釜が傷んでも新品が売られている。つまり、自分でメンテナンスが出来れば釜だって3~4千円程度で買える。コンピュータ基盤を使わないので、長持ちするのだと言える。

ミシン整備を始めた数年前、俺はミシンの構造すら知らず、まして「釜」など知るはずもなかったが、今はこんなブログで「釜は~・・・」とか知ったように書いているがいい加減なもんだ。

電気を使わない構造だが、たかが金属の塊なのでねじ回しなんかでいじり倒し、各所に油を差せば何とかなる。いじっているうちに色んな壁にぶち当たることもあるが、今時ネット検索とYoutubeでほぼ問題は解決できるだろう。

職業用足ふみミシンを選ぶときは統一規格なので歌手だけでなく、蛇の目、他に三菱でも重機でも兄弟でも同じ規格で基本構造は変わらないはずだ。あとは自分勝手な勘違いで好きなブランドを選べばいい。俺はヤフーオークションで入手した。

マニュアルは類似型番のものになるけれど、歌手のHPからダウンロードできる。蛇の目だっていまだにマニュアルがダウンロードできる親切な業界だ。

しかし、マニュアルだけに頼るような心根で何とかなると思わないでほしい。マニュアルに書かれていることだけがすべてではないのと、むしろマニュアルに書かれていることはごく基本的な一部だと覚悟されるがよろしい。

ご存じ、電気を使わない足ふみミシンは現在のコンピュータミシンとは違う、アナログ機械である。匙加減、手加減であらゆる調子が微妙に変わる。ダイヤル・ねじの締め具合、加減一つ一つの手作業がすべてと言って過言ではないだろう。デジタルの数値化されたセッティング感覚とはだいぶ違う。

最初にセッティングがうまくいけば、糸調子ダイヤルと下糸の調子を微調整するだけでたいていのものを縫うのには問題ない。色んな古い家庭用ミシンをいじってみたが、職業用足ふみミシンが電気代もかからないし、縫うスピードも自分の足漕ぎで超スローから最速まで自由自在である。手回しというのも要所で使う。体全体で縫っているという感覚は、分野は違うが自転車の運転にも共通した感覚である。


前回の冬用デニムジャケットの制作を始める時も似たような風景だったが、今回は春秋用としての制作開始である。毎度、差金を使うのはおなじみ。
スタートはいつもこんな感じだ。




いわゆるリーバイス2ndモデルを真似するので、胸ポケットは左右につける。フラップ(ふたも同様)


アイロンは家庭用の30年前からのスチーム付きで、水道水を入れるとカルキ成分が出るので微妙に汚れたりする。そもそもアイロンがめんどくさい。

アイロンを使うと生地に染み込んでいる糊のような成分が固まり、テカテカするので使わないことにする。小中さんの技を真似した、なんちゃって手曲げ縫製である。

縫い目はゆがむこともあるし、工業用ミシンで製造される、いわゆる製品ではない。
しかし、アイロンを使わず、足ふみミシン独自の雰囲気があり、仕上がったら何とも言えない手作りの良さが現れる。そして、実際に着て、何度も洗濯すると当然形もゆがむし、縮んだり、色も落ちるだろう。次第にあたりも出てくるのを見つけるのもひそかな喜びだ。

普及している市販されたブランドのデニムは縫い終わったら、洗い加工なんかするそうで、USED感を高めると聞いた。店頭に並ぶと既に履きこなした感のある、しかし新品のデニムが売られているのだ。新品なのにUSED感が完成している。すごい。

自分で作ると普段の楽しいお洗濯♪を繰り返すことで徐々にナチュラルなUSED感を楽しむことが出来る。
何をやってるのかって、脇から袖を縫っているところだ。



今回は二作目ということもあり、順調に進めてきた。しかし、やはりしょうもない失敗は毎度のことで、タブというのか、両サイドにつけるところをど真ん中につけてしまった。


とてもうまくできた!と眺めると、この通り。

で、ほどいて付け直す。何事もなかったように美しく仕上がった。


そう、ボタンホールは前回もお願いした同じ店で仕上げてもらう。ボタンホールミシンの値段を聞いてびっくりしたが、当然と言われれば当然かもしれない。

ボタンホールがいっちょ前のものになると、全体のグレードもグっと上がる。

ボタンは数が足りなかったので、カフスだけ別のにした。これはこれで良しとする。


何事も失敗すればやり直せばいい。失敗がいけないのではなく、修正力が問われるのだ。そもそも失敗しなければいいという正論は面白くない。

時に、勢いあるけれど、何か未熟な作品に不思議な魅力を感じる時がある。なんにでもいえることかもしれないが、「完成美」というものがあるとするなら、「未熟故の美」と言えようか。そんなジャケットに仕上がったとしみじみ思う。この春、シャツの上に着ることにする。

誰よりも失敗に対する評価は優しく、誰よりも失敗を許す広い心に完成のファンファーレが鳴り響いた。


第二作、セカンドモデル完成!

最後まで読んでくれてどうもありがとう。






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