2019年6月29日土曜日

格安中古ミシン オプション付き!   依存症に注意しよう!

断っておく、このブログはただのぼやきだ。DIYのHow toでもないし、商品紹介や出来上がったものを販売しているのでもない。

デニムを作ったりしているが、アパレルのプロでもないし、ミシン製造、販売、修理のプロでもなくただの素人だ。

俺の所有するクラッシックミシンの入手元はたいていオークションである。最近はやめたが、故障したようなジャンクミシンを落札したもの。


多分これには賛否ある。
自分でも内心あまりお勧めしない。と言うのは、ミシンは正規販売店や業界のオキテを知って、整備技術者のいる販売店と仲良くなってアドバイスを請い、お勧めされるミシンを適正価格で購入することが理想だと思う。

価格だけだと中古ミシンのオークション取引は安い。ある意味適正価格といえるがごみ程度の価格だ。そもそもそんなジャンクミシンを素人が取引するというのはいろんな意味で良くないと思う。

まず、99%中古ミシンオークションの商品は補償はない。個人取引だし、時にはリサイクルショップなら応対はきちんとされているかもしれないが、専門業者ではないことが多いので出品しているミシンのことをたずねても満足するような回答は得られない。

お勧めしない理由の多くはこの点、つまり、取り扱っている品物(ミシン)のことをまったく知らない(専門外)のため、故障や整備、部品について、アフターサービスはまったく対応出来ない点にある。いわゆる売りっぱなしだ。

そもそも、売りっぱなしという、販売姿勢はどうかと思う。散々オークションでミシンを漁っといてなんだが、いまさらそんな風に思うようになった。

言い訳がましいが、俺の場合は機械整備の遊びのためにと言う理由からオークション品に手をつけたわけだけれど、誰にでもそんな入手経路でミシンを使うことが良いなどとは到底思えない。

新品を買う予算をケチってオークションの中古を選択肢に入れるのであればその中古はほぼ故障しているので調整・修理費用を見込んでおくことが必要だから新品よりも余計に経費がかさむこともあるかもしれない。

修理費用は修理店に足元を見られることもあるし、買っていない店では喜んで修理を引き受けてくれないかもしれない。


自戒をこめて振り返るが、今まで入手した中古ミシンはすべて調整が必要で、ほとんど故障しているといっていいものだった。分解するとゴキブリが100匹など、うれしいオプション付きだったことはいい思い出だ。

ただ、そんな不良品がすべてではなく、時に「あたり!」もあって、ほとんど手を加えなくともきちんと動いたものもあった。(汚れていたので磨いたのだが)

たぶん、「あたり!」にめぐり合うとドーパミンがどっばっと出て、最悪重症になると依存症になるのかもしれない。(まだ依存症の自覚がない。世間にオークションで買わない宣言をしたつもりだ)

そういやぴえ~るのおっさんが20代からやっていましたとゲロってたな。何度も止めようと試みたんだろうが、ある意味、依存症の最終形だろう。おっさん50だぜ。

アメリカなんかは多くの有名アーティストが依存症の心臓発作で若死しているが、案外国内有名人の若死で心臓発作だったと聞くと、あの人ももしかして・・・と勘ぐってしまう。

作品に罪はない。でも行いは罪なのよ。勧められても手を付けないようにしましょう。

追記:落札者の中に根こそぎ落札し続けている人がいる。個人ではなさそうな、特定のIDを見る。どうも古いミシン、しかも人気があるいわゆるミシンの中の名機といわれている機種を買いあさっているようだ。

これらの現象を見て、そんなIDは複数存在しているようで、何らかのマーケットが存在しているのだと想像した。

足踏みミシン、コンピューターミシン、電子ミシン、電動ミシンなど、特定の人気機種にターゲットを絞っているようで、入札しても必ずといっていいほど負ける。ある一定の相場のようなものがあるみたいで、評判いいミシンは出品時点の価格は低いけれど、最後はそれなりの価格競争で入札終了している。

何度も様子見して思うが、終了10分前にたった一度の入札で落札しているのをみると「おおおっ!」とかなってしまう。おおよその相場観があっての入札行動にも思えるが相当の経験値と組織化されたプロ集団なのかもしれない。



















2019年6月28日金曜日

ただいま航海中 オーバーオール ~完成編~

とうとう完成にこぎつけた。

思えば、だいぶ遠くまで来た。

振り返ると、計画や市場調査、資材の調達、縫製の失敗とやり直しを繰り返し、完成といえる状態に到達した。

今回、俺仕様のオーバーオールを発表したい。
詳細は次のとおり。

1)生地は(たぶん)9オンスデニム。
2)ダブルニー(腿から膝の生地を二重にした)
3)肩紐の背中の交差する縫製。
4)脇は3本ステッチ。
5)革パッチのための焼印を自作金型(真鍮)で作成。
6)ポケットステッチは俺オリジナル二重波デザイン。(左右反転)
7)脇ドーナツボタンは片側3個。ボタンホール糸、閂止めは一部赤色糸を使用。
8)背中にワンポイント、後ろポケット横・胸あてに俺ネームタグ。

製作には今年1月ごろにアイデアをねり始め、2月、3月は真鍮焼印製作を平行して、縫製を開始したのは5月。焼印が納得できる仕上がりになった6月に縫製とともに完成した。

日本はすでに梅雨。気温30度。ダブルニーの厚めのオーバーオールに仕上がった。試着してみたが今、日本のこの気候では暑苦しくて着ることは出来ない。

南半球で着ることにする。


ジャノメ 職業用ミシン  令和だが昭和

ジャノメには職業用ミシンがあり、いくつかの機種が複数存在する。

今日はいわゆる足踏み式の職業用について。

以前、図書館で借りて読んだジャノメ史には職業用ミシンについての詳細は見当たらなかったが、実際ジャノメには足踏みミシンの職業用ミシンが存在する。知っている人は知っている。(あたりまえか)


歴史的には761から763、766と三世代の足踏み式職業用ミシンがある。
モデルナンバーが飛び石になっている764と765はそれぞれ工業用としてあてられているみたいだ。しかし、762はカタログなど探したが見当たらなかった。

761は「JANOME」デカールの書体にゴシック体と明朝体のモデルがあり、俺のは明朝だが、取扱説明書にはゴシック体のモデルの写真(絵)が掲載されており、マイナーチェンジしたのか、どちらが前期でどちらかが後期モデルなのだろうか、または別物なのか、わからない。


766は2000年10月のカタログが閲覧できることから想像すると、20年前までは販売されていて、のち数年は在庫を販売していたと推察している。まだ最近の感覚に感じるしかも122000円。安い。もし今売られていたら即買いだ。

JUKI、ブラザーはこのころすでに足踏み式は製造販売されておらず、ジャノメが唯一の牙城だった。最後までジャノメは足踏み式にこだわって、しかも職業用を製造した。手堅いメーカーだと感じた。

問題はユーザーで、足踏みミシンを使ってきた時代の熱烈なユーザーががいなくなった。

ここで一曲、玉置浩二の名曲「メロディー」(youtubeにジャンプします↓)をお届けしたい。

https://www.youtube.com/watch?v=_COv6lAnREU&list=RD_COv6lAnREU&start_radio=1


この当時の背広のシルエットはみんなこんくらいダボついてた。

玉置浩二という歌手は、個人的には足踏みミシンが活躍していたような昭和の時代や情景を歌で聴かせることの出来る数少ない歌手だと思って聞いた。


そう、スペックだ。

家庭用<職業用<工業用となるが、職業用には「家庭用ミシン」以上のものを期待されるわけで、実際に足踏み式ではあるが職業用を使ってみて、いくつかの明らかなる違いを確認した。

①スピード
②貫通力
③直進のみ故の剛性



①のスピードについては、766は毎分、1800回転だそう。

761だとだいたいベルト車が一回転すると針は8針進むから、1分間で225回踏み板を踏む。一秒間で3・75回となる。ちょっとしんどいが、もしかしてプーリーの径が761よりも小さいのかもしれない。モーターなら楽勝だ。

最新職業用にはボールベアリングが採用され高速回転を実現しているがそれでも毎分1600回転だ。766はボールベアリングなしに1800回転を出しているところからすると、今にない相当の高性能だったと思われる。摩擦による焼付けにも耐用する構造だったのだろうか。

761を最速で漕いでも一分間に225回は相当しんどいと思う。やってやれなくもないだろうか、しかしスペック値は761は最速約1500回転だ。計算上は187・5回だ。これなら可能なのではないかと思う。だが、まさかこの値の速度を連続して数分間続けるような使い方はしないし、実際のところはあくまでも瞬間(数秒間)の最大値と言うことだろうと思う。

取説から見ると763は特筆される。
最速でいうと、足踏みとモーター式(電動式)で差がある。足踏み式が1500回転に対し、モーター式(電動式)は2000回転となっている。針棒ストローク、押さえの高さはいずれも同じ値のようだから基本的な構造はモーターがあるかないかの違いだけのように見える。

推測を含めて書いたが、そもそも1500回転と1800回転、2000回転の値を攻めて作業するようなヘビーな作業や使い方ではなく、あくまでもそんなフィーリングだと思っている。

②の貫通力については、針棒ストローク(最上点から最下点の距離)があり、構造はオール金属のボディーとギアなど負荷がかかる部品すべてが頑丈なため太い針を使用できるように設計されている点などからも家庭用ミシンの限界と比較しても明から違いを実感する。

③は、ジグザグが出来る家庭用ミシンはどうしても針棒を左右に振るための構造上、上下に加え左右の運動が加わることで複雑な要素がある。一方、職業用は針棒に限っては上下運動だけの単純な構造から直進性能に有利だといえる。この点は工業用とまでは行かないにしても職業用としての特殊性があって生き残っている。ある種マーケットの要請があると思う。

その他、送り歯、フトコロやサイズ、押さえの力なども関連しあいバランスを考慮された構造になっている。

飛躍するが、当時のミシンは完成形を成し遂げたといっていいほどだ。そんなミシンの時代だったと思う。

いよいよ令和になり、みんなが度肝を抜くような、あっと驚くミシンが誕生して欲しい。













2019年6月22日土曜日

ただいま航海中 オーバーオール singer188U召集   ~縫製編~

ムッシュ杉本の本とアイアンハートの写真イメージを参考に、オリジナルマスタープランとした。

今回はジャノメTA-761には休暇を与え、singer188Uを召集した。

相変わらず男前なsingerで、しばらくぶりのシルバーボディーに向かうと高揚感が味わえる。

今回扱う生地は9オンス程度のライトな感じだが、使用糸は20番中心にセレクト。針板を厚地用に切り替える。念のため作業開始前動作チェックと軽く注油してから試運転。

今日も絶好調。出来上がりが楽しみだ。

問題は着心地だ。オーバーオールは着た事がない。デニムの延長と思ったらいいのか。

縫製にこだわった点は、脇の三本ステッチ、胸当てのポケット、どうしても写真だけではわからなかった脇ポケットの仕様だ。途中経過の仕上がりを見て、思いのほか脇三本ステッチはいいと思った。脇ポケットは可もなく不可もなく。

すべて20番糸にするのでなく、適宜30番、60番を使い分けたのは良かったのではないか。どれもこれも20番糸は太すぎるような気がして、必要ないと思うところは30番、60番を使った。

ドーナツボタンの採用は初めての経験であったが、つけて正解だった。作品のグレードをUPするのに貢献してくれた。

今回選んだ吊カンについて、あまり良くなかった。しかし、機能性には問題ないのでよしとする。もう少しどうにかなったのではないかと思うが、吊カンを自作するには難しそうだ。

毎度のことながら、閂止め、ボタンホールに課題が残る。

ボタンホールと閂止めのため、家庭用ミシンのジャノメKTS550を臨時召集したのだがこのミシンでは段差が近くにあると段差のせいでうまく進まなくなる。

同じところを何度も縫うが進まず縫い目がこぶになって、何度かやり直した。

段差をなくすように押えの後ろに同じ厚みになるよう別の生地を差し込んでみてもうまくいかず、その場しのぎ。職業用ボタンホーラーというやつが必要なのだろうか。

ボタンホールと閂止めをデニムで確実にしとめることが出来るなら家庭用最新最高機種を買ってもいいと思い、以前、EX-7をテストさせてもらったことがあるが、テストした条件では不十分な手ごたえだったので買うのをやめた。

職業用ミシンといっても所詮、家庭用のカテゴリーなのでデニム生地が確実に縫えるというわけではなく、絶対ではない。足踏みミシンを使って、個人でデニムパンツを作っています。工業生産品とは違いますが、趣味の範囲でできますよ、的な程度だろう。

一昨年作った初代デニムは履きこなれ、いい感じに色落ちした。今のところ、傷みやほつれもない。

耐久性を比較するのは難しいが、自分で作ると材料費だけなので考えようによっては冒険できる。手作りする動機だろう。

先日はジャノメのことに触れたが、今回使用したsinger188Uもなかなかやる。

スペック詳細は調べていないのでわからないが、ジャノメと同じようなボディーサイズで製造年も近い。同じTA規格のためジャノメ足踏み台に載せ換えて使うことが出来る。革ベルトも変える必要なく、同じ長さのままぴったり合う。

台にある膝上げレバーの位置も本体を載せ換えても同じ位置で使え、縫っていても何が違うの?と言うほど縫い味も似ている。仕入れたときは若干ジャノメよりも軸の回転なんかが油で固着していて重い印象だったけれど、動かしているうちにぶんぶん回るようになった。

「singer」は、歴史的にはジャノメやブラザーよりも先発であり、性能面でリードしていた。しかし、俺のジャノメTA-761、singer188Uの2台は同年代(昭和36年ごろ)の製造のもので、個体差や調整による違いもあるだろうが、性能差は極めて近似値といえる。

歴史的ブランドの名機・singerか、国産ブランド・ジャノメか、気分によって使い分ける幸せ。どちらもメインマシンとして大活躍。

こうして自己満足の世界が形成されている。

















2019年6月7日金曜日

ただいま航海中 オーバーオール           真鍮焼印とエラー ~道草編~

構想段階のオーバーオール。

生地を買った。糸、ジッパー、タグは買置きのヤツを使う。

先日からリベットを探していた。

リベットは画鋲のようなとがった土台とふたになった金属で構成され、布をはさんでプレスして接合させる。直径一センチに満たない程度の金属のあれだ。

皆さんご存知だろうが、俺はデニムを自作するまでリベットなんかを意識してみたことがなかった。

デニムマニアの諸兄はこのリベット一つに含蓄があるらしい。


ボタンはベルトをすると隠れてしまうのでデザイン云々は二の次でいいと思っているのだが、リベットは見える場所に打つので履いたときの印象が変わる。

リベットは今まではバッグ資材用のカシメを打ち込んで、それなりに仕上がったと自己満足していた。
今回のオーバーオールには、さらに本格的なデニムに迫りたいと思った。

近所の手芸店には販売していないのだが、ジーンズリベットのネット販売は見つけた。
いまどきは何でもネットになる。

しかし、当然割高で送料もかかる。どうせならネットではなく対面販売している小売店で買いたいと思っていた。

で、探したら近くに革細工の資材専門店があり、ここにジーンズ用リベットを小売していた!!

選択肢は4つほどでその中の一つを選んだ。これで本格デニムに迫ることが出来る。

今、在庫を持つリスクからか小売されている店を探すことは至難の状況で、リベットだけに限った話でなく、何でもかんでもネット通販の時代にいささか残念だ。ネットは豊富な種類の品物を選ぶことが出来るという豊かな世界ではあるが、相手の顔が見えない、品物を手にとって比較できにくく難しい。

反面、言い換えれば、顔を見なくて済み、後ろを向いてべろを出していても相手に知られることなく、先に支払いを要求できる点からも売り手市場なのかもしれない。

もう少し考えると、今までは余計に笑顔で愛想よくして販売にかかる見えにくい労力というエネルギーが価格に反映されていたのではないかともいえなくもない。

リベットは何とか入手したが、問題は革パッチ。

前回までのデニムには革パッチはつけたものの、油性マジックで屋号を入れただけの簡素な、というか手書きのもの。(屋号といっても商売ではない、個人の作品なのでペンネームとか言う類の物と言うたとえが近いか)和風なら雅号か。

前作の革パッチは油性マジックで手書き・・・と、相当雑な仕上がりになってそれはそれで味にも思えるが、手書きゆえの失敗感がかもされてしまい、出来上がりはいかにも手作り。

今回はもう少しひねってみたいと思ってどうせなら焼印をつくってしまおう。焼印だ!

革への焼印。デニム、オーバーオールときて焼印が加わり創作範囲がじわじわ広がりつつ始末できないまま部屋も散らかり放題。

焼印といえば、真鍮だろう。
焼き鏝といえば電気式だろう。
この方向性で研究調査の日々に追われ、気づいたら5月も後半戦だ。

みんな大好きネット検索で探すと真鍮が最適らしく、たいてい専門業者がCNC旋盤で機械的に彫ったものが主流のよう。CNC旋盤を個人で購入して使いこなすまで、たとえエントリーモデルを選んだとしても最低15万から20万のスタートコストは覚悟しないといけないようで他の使い道があるならまだしも、一点ものの作品の製作コストを考えると、さすがに趣味の領域を超えてしまう。そこまでの勇気はないへたれな俺。

手彫りの精度は1文字20ミリかせいぜい15ミリが限界だろうと、一度やってみて思った。

革パッチは「Lee」のような、パッチサイズの中に大きな三文字構成の彫刻なら俺の手彫りでも可能だろうが、もう少し小さい文字をデザインしたい。

このようなデザインをかなえるのにオーダーメイドの真鍮焼印専門業者価格は見積もりを見るまでもなく数万円。これを考えると、ハンドルーターによる手作業で掘るという方法がエコノミーだと思った。

とりあえずデザインは決まったが、有料ソフトのイラストレーターはこれまた高額なので無料ソフト、インクスケープをダウンロードし試行錯誤の末、デザインのための必要最小限の機能を使って描いた。

出来上がったデザインデータを真鍮に転写する。これはレーザーコピーのトナーの熱転写で解決したがきちんと転写できるまで20回くらいやり直しただろうか。熱転写といっても使い古しの普段の家庭用アイロンが猛威を振るう。

細かすぎるデザインには妥協が必要で、文字、イラストの線、幅を再検討して原版から修正すること5回。

何とか熱転写を成功させ、次は真鍮エッチングだ。転写した原版をハンドルーターで直手彫りも考えたが、直線とエッジ感を表現するのにはエッチングだと思った。

ここでも4回失敗した後5回目で形になった。F式というヤツを参考にした。

きれいに文字とロゴマークは浮き出たが、思いのほか浅い。柄を深めるためハンドルーターによる手彫り加工の作業はさらに地獄を見た。

素材が真鍮なので硬い。やってみてこれほどまでに硬いのかとつくづく出口の見えないトンネルの長さに心が何度折れそうになったか。いや、折れたかもしれない。

ここまで振り返って何回失敗を繰り返したか、もう数え切れない。ここに記載していない小さな失敗は山ほどある。果たして失敗の先に完成を見るのかどうか2ヶ月以上長いトンネルをひたすらとぼとぼ歩いている。

失敗と成功の違いもいろいろだが、工業製品の場合1ミリ、コンマ5ミリ、0,00何ミリなんて誤差を許さないことだってあるだろうがまさかそんな世界でもなし、あくまで俺がよしとするところを目指した。

一旦、やる気スイッチを上げるため、試しに押してみた。

100点とまでは行かないが、100点が見えてきた。

自己満足と言う言葉を使いたくはないが、景色は変わった。


エラーについての持論。

仕上がりのすばらしい工業生産品と、素人の手作業はずいぶんかけ離れ、趣味に毛が生えた程度のものでしかないのだけれど、世界にたった一つだけの俺の服であって二つとない。

売られている工業用ミシンで縫製された縫い目の整った歪みない仕上がりを見るとつくづくその完成度のすごさが身にしみる反面、なぜか失敗や不ぞろいなどエラーを許さない物づくりにしんどいものを感じてしまう。

自分でミシンを使うようになって難しさを思い知らされ、売り物の縫製、縫い目を今まで以上に見るようになった。

人の失敗を許せないのに自分が作ると失敗を棚上げしている。自分勝手とはこのこと意外にないだろう。

俺は自分でステッチに失敗したゆがんだ服を自分で着ている。自分の失敗は自分で責任を取っているともいえる。しかし、いざ金を払って歪んだステッチの服をあえて選ぶことはないだろう。(ビンテージデニムは歪みが特徴だったりするらしいと知った。あえてその歪みを再現したりすることも売りにしていたり一部マニアの世界らしい。わざと歪めている)

わざと歪めるのと、下手な結果の歪みとは別物だと主張する意見を見聞きしたが、ビンテージデニムの歪みはわざと歪めたのだろうか。

毎日何がしかのエラーに遭遇する。

品質高い日本人の仕事であってもエラーは日常茶飯事で本当のところ、日本製が優れているのか、甚だ疑わしいと思っている。確かに世界で日本製が高評価されているのだが、日本で普段、これほどエラーに遭遇しているのだから、世界がもっとエラーだらけなのか、あるいは日本はエラーを修正、修復する力があるということなのかもしれない。

エラーに関しての捉え方は深めると面白い。

こんなだから完成はいつかわからない。