2019年3月31日日曜日

ジャノメTA-761 カローラレビン このたとえは誰もついてこれないだろう 

先日の記事は、足踏みミシンを落札してYDKモーターを載せたというところで終わった。

今回は、モーター駆動させた足踏みミシン蛇の目TA-J761の使用感をお伝えしたい。

やっとのことでモーターをくっつけたのだが、結論から言うと、、足踏み台を仕入れた。終わり。


というのは説明不足だろうから縷々述べたい。

モーター駆動は大変速い。そしてパワフルだ。つけたモーターは職業用というから家庭用ではない。繰り返しになるが、速くて力強い。

沢山の縫い物をするのには重宝するだろう。
急いでいるときなんかもいい。
速度計などあれば数値化したデータが面白いだろうが、詳細はわからない。果たしてどのくらいの針数だろうか。

このミシンのカタログスペックは最大/毎分1500針だが、モーター駆動させることでもっと出てる気がする。

コントローラーをいっぱい踏み込むとモーターの回転による振動が本体を揺らし、まるで20年使っている俺の洗濯機の脱水時の振動と思えるほどの激しさだ。オーバーな表現かと思われるかもしれないが、力強いのだよ。

もちろんコントローラーの踏み加減次第でスローにもなるが、モーター駆動の醍醐味はやはりスピードだと思った。車にたとえると家庭用ミシンは自家用車、普通車。工業用はF1マシン、では職業用ミシンは・・・スポーツカーと言ったところだろうか。

だから、まあまあの速度が出るし、走る楽しさはたくさん走らせればわかるのかもしれない。ただ、それほど走らせる必要性が今のところないので俺にはちょっと手持ち無沙汰になっていた。

身の周りのちょっとした縫い物のために、まるでスポーツカーで自宅から数百メートルにあるコンビニエンスストアにぶっ飛ばして買い物に行くような。

人気スポーツカーランキング!(テキトーにネット調べ)

  • 第5位:ホンダNSX NA1/2型
  • 第4位:トヨタ86 & スバルBRZ.
  • 第3位:三菱ランサーエボリューション
  • 第2位:日産フェアレディZ Z33
  • 第1位:日産スカイラインGT-R R32型

第4位にトヨタ86があるので、俺の蛇の目はカローラレビンと表現したらどんぴしゃ的を得ているはずだ。女性にたとえると、高校二年の女子高生といったら全国の俺の女子高生ファンから顰蹙だろうが、そんな感じだ。

アクセルを踏めば後輪がキュッと鳴って立ち上がる、そんな敏感な瞬発力。

だから、街中に住んでいて歩いて用事が済んでしまうため、カローラレビンを出動させるにはちょいともったいない。あまりの近さに車庫から出すのもめんどくさい。

問題点というか、足踏みミシンの宿命と言うべき点があって、停止するのにはどうしてもアクセルオフしても惰性で数針進んでしまう。この点においては最新の職業用ミシンにはかなわない。止まりたいところでドスンと止まる、あのコントロール性はなんとも快適だ。

せいぜい小旅行程度で喜んでいたのだがさすがに街の風景をゆっくり眺めながら走ることのよさを思い描いて足踏み台を導入した。









2019年3月28日木曜日

蛇の目TA-J761 足踏みミシン モーターの取り付け

昔々、母親のジャノメでミシンを覚え、忘れかけたころにヤフオクでブラザーコンパルデラックスを修理したことがきっかけで再びミシンに興味を持った。

ミシンのブランクは30年近くあったが、修理したコンパルデラックスを使えるまでにそれほど時間はかからなかった。

ブラザーコンパルデラックスをきっかけにミシンを何台かヤフオクで落札しては修理し、修理したら出品してまた違うミシンを落札して・・・と何台かのミシンを使い、そうしているうちにとうとう足踏みミシンを使うようになった。

何台か違うミシンを修理して使ったけれど、どのミシンも良いミシンで、コンピューターミシンなどはいまでもボタンホールなどに重宝している。

そして、とうとう足踏みミシンを落札した。それまで見てきた景色が変わった。

家庭用ミシンには縫える厚さに物理的限界があって、ちょっと欲を出して厚めの生地や折り重なりがあったりするとミシンは悲鳴をあげた。

ジグザグを縫えることや、文字模様が選択できて種類も豊富。普段使いには申し分ないのだが、なにか味気ないと思っていた。

ミシンに飽きてきたのかもしれないと思いつつも、足踏みミシンの写真を見てしまったのが最後、所有したい一心でまっしぐら。



ジャノメKTS550は、センサークラフト7000番シリーズと同型機であり、製造からはおよそ30年近く経とうかという(古い)ミシンだが、今でもヤフオクでも人気機種の一台であるようだ。

ところどころトルクスネジを使った、設計がしっかりしていてしょうもない故障が少ないいいミシンだ。

先日、ジャノメ社の人に聞いたら当時のセンサークラフトのミシンのレベルは最高ですよと。あのレベルのミシンは今作れませんね。と言っていた。違うレベルのいいミシンを作っているわけで、当時の開発者に謙遜しているとも取れる意見だろうと思いつつ、実際使っていて、とても使いやすいミシンであり信用できるミシンだと感じる。

足踏みミシンを入手するにあたってジャノメ、ブラザー、JUKI、シンガーなどのメーカーを候補に考えたが、家庭用ミシンでジャノメKTS550の完成度の高さに感動したこともありメーカーはジャノメに決めた。

そんなジャノメミシンの信頼感をイメージして昔のモデル、しかも足踏みで職業用
タイプを探し始めた。

どうやら761、763、766と三台のモデルがあって、766は2000年ごろまで販売されていたそうな。

この3モデルの内、当初763を探した。
763のデザインが一風変わった印象に感じたのだが、工業用で764、765とあり763は職業用としての設計だった。この、職業用と工業用の違いについて良くわからなかったが蛇の目HPではいずれもカタログをダウンロードできるので違いを知ることができた。

当時あいにく出物が見当たらなかったので、仕方なく761の黒いやつに方向転換して目星をつけ、勢いつけてオークションで落札入手した。

黒の躯体に「JANOME」とデカールされた直線的な印象だがところどころの曲線やアールがその直線イメージを殺さず引き立てているように思う。

当時の職業用TA規格、蛇の目独自のデザイン、日本人の手による当時として最高水準の技術だったはずだ。

次に感じたのは絶対的な堅牢性だ。
今のミシンはフレームに樹脂カバーされた軽量化を図った緻密な設計だが、761の本体はおそらくほぼ100%が金属でできている。

今のミシンは精密機器とか、コンピューターミシンをあらわしているが、足踏みミシンはメカ(機械)という表現がそのものずばりといえる。

761は金属素材だけの構造で設計は機械工学が基礎となっていて自転車や自動巻き腕時計、動力を電気エネルギーなどに頼らない足踏み機械だけの基本、本質が息づいているといえる。


もともとモーターをつけるようにブラケット、台などを装備しているメーカーや機種もあるようだが761にはない。

入手当初、YDKモーターを換装して電動化してみたが問題点を感じた。

一つはプーリー側のベルト溝とモータープーリーのベルト溝が本体正面から見てツライチにならなければならないが、買ったモーターについていた汎用タイプのブラケットだけではツライチにはならないしポン付けできない。20ミリほどのスペーサーのようなものを用意する必要がある。

これはホームセンターで基礎パッキン樹脂を買い、グラインダーで側面に合うよう曲面研磨加工した。

もう一つは、本体にモーターをつけるためにブラケットを介してボルトで固定することになるが、躯体に穴を開け、ネジきりするか迷った。ドリルで本体に穴を開けるのにはためらわれた。

右側面、プーリー下に2つ穴がある。上の穴を使うのは返し縫レバー、プーリー回転の関係などから難しいので下にある穴を使えないかと考えた。

穴自体はボルトを通せるくらいのいい感じだが、ナットを締める躯体裏側の構造が凸凹でナットを締めると凸凹の角の一部に負荷をかけることになるり、躯体自体をいためたり損傷してしまう恐れを回避する工夫が必要だった。これは、いつものネジ屋で「台付きナット」というやつを買って締めてみるとちょうど良い加減になった。

こうしてモーターコントロールでの足踏みミシン操作が万全にできるようになった。


2019年3月16日土曜日

絶滅危惧ミシン  精神修養

足踏みミシンはミシン台と一体のサイズ感が大きいし、家具と考えると最近のマンションなど限られた生活空間にミシンはふさわしくないと思われている。ポータブルタイプが主流になるのも頷ける。

大きいし、古い、整備していない場合は油で汚れ、時にはその油が固まっていたり埃が積もってフエルト状になったりもする。

そして使われずに邪魔者扱いを受け、最後は処分されてしまう。

自動車、腕時計、自転車、ミシン、機械物で普及した庶民が使うこれらのものの中で50年、100年使い続けることが容易にできるものといえば、唯一「ミシン」である。

最近見つけたブログで昭和遺産とか、家庭遺産、などと表現している方のHPを読んで妙に合点がいった。

先日も書いたが、手芸店のミシンパーツの販売コーナーの片隅に今でも家庭用・職業用足踏みミシンの革ベルトなどは販売されている。

現役で足踏みミシンを使う方が沢山いるのだろうと思う。

足踏みミシンしか使ったことのない人にすれば、コンピュータミシンは使い方がわからないし、使えない。

逆にコンピュータミシンしかしらない人は足踏みミシンなんて使えない。使える環境がないし、使いにくいという先入観もあるかもしれない。

足踏みミシンは、部品もメーカーが違っても共通規格が多く採用されていて流用できたり、使い続けることができる条件がそうさせているともいえる。

たしか、今の製造されたミシンなど、製造打ち切り後の部品保有は7、8年ほどで終わるためそれ以上の古いミシンは基本的に修理を断られる。

代用品で対応する場合や中古ミシンのパーツを流用することで古くても修理はしてくれるところもあるにはあるが、部品取りの中古が早々入手できないこともあるだろうから至難だ。

今のメーカーはメーカー規格だけでなく、ミシンの機種別の規格もある場合があって、押え金すら同じメーカーでも使えない場合なんかもあって流用性が乏しく、ミシンが普及しない要因をミシンメーカー自ら作り出している。(今のメーカーは積極的にミシンを普及させようとはしていないのではないかと思う)

ジャノメ史を読んだとき、昭和初期の当時の産業として統一規格を用いることでいろんなメーカーや部品製造の下請け会社までミシン景気が上向いていた。また、統一規格は世界戦略として強敵海外メーカーにオールジャパンで対抗するためでもあったそうな。

現在、すでに世界制覇を果たした国内メーカーは向かうところ敵なし状態であって、強いて言えば、敵は国内にいるのかもしれない。どこの会社でも仲間内で足を引っ張り合うのはそんな要因があるのだろうと考えてしまう。

俺の足踏みミシンはたとえ毎日酷使しても多少の手入れをし続ければ優にあと50年は故障しないような雰囲気をかもしている。たぶん、当時物の足踏みミシンには普通にそんなポテンシャルがあると思う。

ただ、今後ミシンメーカーが足踏みミシンの新型機種を開発するようなことはないし、現存する足踏みミシンは次第に消えてゆく運命にある。(まあ、そのころにはすでに俺も消えているが)


でも、足踏みミシンは生き残って形見として引き継がれ、大切に使われたりもしていることもあるようで、このようなミシンが存在しているのを聞き、知って少し嬉しい気もする。

ミシンもそうだが、元の持ち主もあの世できっと喜んでいるはずだ。

縫い進める音やリズム、機械なのに温もりを感じたりもする。引き継がれたミシンが前の持ち主を偲ぶ役割を果たしているような感覚を思う。

足踏みミシンの世界を体験して感じた限り、コンピュータの制御装置によらない、自分の手足の感覚だけで縫い進める機械、操作感や縫いあがり、そのアナログな手ごたえが感触いい。

手縫い、家庭用ミシン、工業用ミシンなどそれぞれの性質が違うみたいなので、何が一番というのではないが、足踏みミシンには足踏みミシンの世界観があるような気がしないでもない。

どんどん技術革新と新しい世界を切り開こうとしているミシンメーカーには最上級の敬意を払いつつ、足踏みミシンユーザーは自分の足踏みミシンを後世に引き継いで欲しいと思っているのは俺だけではないのではないかと思う。

問題は、足踏みミシンを使うにあたって、備える場所が必要なことと使い勝手が一癖あるところに敬遠されてしまう要因があると思う。

いかに足踏みミシンを有効活用するか、使い慣れることやその扱い方に工夫があれば生き残る方法はあると思う。

良くあるのはディスプレイとして店の飾りにおいているなども方法だろう。だが、実際に使ってもらってその価値は発揮すると思うのでやはり使い慣れることがいいのだろうと思う。いくら使いやすくなったという最新ミシンでも使い慣れることに多少の暇が必要なので、足踏みミシンも頭柔らかく考えると結局同じことなんだけどね。

むしろ、足踏みミシンの原理や構造、ボビンケースの糸調子なんかを会得したら最新ミシンの扱いにそう手間取ることなく使える応用性があるといえる。

もし、縁があって足踏みミシンを形見として譲り受けるような時が来たら、古くて大きくて場所取るからと廃棄処分を検討する前にほんの少し思いとどまってみて欲しい。あなたが今、そのミシンを処分してしまうと足踏み式ミシンの絶対数が減ることになる。



デメリット

①ミシンと台、セットで保管するための場所が必要。最新家庭用ミシンなどポータブルサイズに比べて大きいこと。作業場所を選べない。持ち運びに不向き。持ち運び出来ない。

②縫い基線は直線のみまたは直線とジグザグ程度のため一見地味。

③垂直釜でボビンケースと糸調子に多少の慣れが必要。覚えたら箸と茶碗を持つ位に簡単。

④古くて重く、汚い。故障?している。どうやって動かすのか、縫うのかわからない。→最初は誰でも同じ。自転車や自動車を乗りこなすことが出来たら、違う自転車や自動車にもすぐに適応できるのと同じで、ミシンも機種やメーカーが多少違っても理屈は同じ。

これらデメリットをクリアすれば、ちょっとした調整程度で再び使えるようになる場合が多いことがある。もし、修理が必要な場合でもその修理にかかる費用によるがその後の保全性が高く、末永く使えることがあり、修理費をかけるだけの恩恵を受けることができる。

さらにもっと良いメリットをお伝えしたい。
何でも便利になった世の中、マニュアル車はオートマチックに変わり、クラッチ操作がなくなった分、快適ドライブが誰でも簡単に実現できるようになった。しかし、クラッチ操作を知って、使うとどんなにも豊かなカーライフを送ることができるのと同じ、足踏みミシンにもそれに近い要素がある。

それは
①より縫い物の原理が理解できるようになり、2台目からのミシンにコンピュータミシンを選んだとしてもそのコンピュータミシンをいたわりながら使うことができ、結果的にミシンを大切にすることで長く使い続けることができる。

②コンピュータミシンは部品保有期間が過ぎると修理困難な場合があるが、足踏みミシンは金属部品が多いので故障率は低く、共通規格の補給部品は現在でも流通している。

③レトロ、アンティークといわれるような古くても今のデザインにはなくなった味のある要素が沢山あり、室内においているだけでも存在感ははんぱない。

④前の持ち主を偲ぶことで前の持ち主を立てることになり喜ばれ、縦横のラインを大切にする人感を印象付ける(かもしれない)

⑤サイズが大きいため、設置場所を確保することで縫い物をする心構えができ、精神修養の機会になる。怪しい占い、宗教に惑わされることがなくなる。

とまあ、⑤番まで挙げてみた。他にもまだあるが、今日はここまででおしまい。