2018年11月1日木曜日

ミシンの場所

まさか自分がミシン台まで導入するとは思わなかった。

まだ、ブラザーコンパルデラックスの時代、フットコントローラーは無く、本体速度調節ボタンで「低・中・速」の三段階切り替えを巧みに使いこなしていた。あのころ、ちゃぶ台でミシン作業ができる、すばらしい相棒だった。軽かったし、上蓋をあけて作業できるので整備作業性も悪くなかった。

下糸巻きのゴムを新品に換えたくらいで特段の修理も必要なかった。清掃と注油だけをしていたと思う。あのころはまだミシンのことを深く知ることなく、縫うことメインに遊んでいた。そのころを思い出し、今を比較すると足踏みミシンになって釜のオーバーホールもできるまでに至った。

自分でも不思議に思うが、コンパル当時、とても釜の仕組みは未知の世界だった。少しずつ調べて調整と分解ができるようになったが、おそらくおっさん連中はメカ、整備などに情熱を注ぐことが特質なのだろうと思う。

クラッシックカーやオートバイ、自転車などの乗り物、プラモデル、鉄道模型、カメラ・・・ミシンとくる。他にも数えればきりが無い。


歴史的にコンパルデラックスはブラザーのヒット商品で、中級機に位置づけられているようだが、俺にとっては高級機だった。(ヤフオクで1900円位だったかで落札した。今でも人気があるようで2~3000くらいで取引されている)俺としては思い出してもあのミシンはもっと価値があると思うし、おき場所さえあればもう一度手に入れたい。

手放したミシンのどれもが、置き場所があるなら今でももう一度欲しいと思うものばかりだった。きっと次の主に忠実に仕え、愛されているに違いないと思う。

据え置き台のミシンを使うにはある程度の場所、広さが必要だし、ミシン置き場だけではなく実際作業するときにはアイロンがけしたり、型紙を広げたり、裁断したりなどそれなりの作業スペースが必要になる。

狭い家や部屋での作業はしんどい。かといって部屋は広くならないし、そう簡単に家は大きくはならない。

やはり、ミシンを選ぶ、買う、使うとなると家の中のミシンの場所を考えて、場所とるから大きいサイズのミシンはやめとこうと敬遠されるし、たいてい優先順位に負けたポータブル型のミシンが選ばれる。

最近仕入れた足踏み職業用ミシンは台の幅120奥行46高さ74位の足踏み台で、重量もそれなり、ミシンヘッドを艦載するとおよそ4~50キロ近くの機材だ。最新コンピューターミシンは11キロくらいだから比較するまでもない。11キロなら俺でも持ち運び何とかできるが、職業用足踏みの鋳物鉄のやつはヘッドだけでも16.5キロある。これ、相当重い。

大金持ちの豪邸など別だが、日本の家は狭い。ガレージもあるがたいてい窮屈だ。田舎に行けば田舎特有の見栄で広い家は普通だが、都会はそうも行かない。
狭い家に住んでいることで、都会に住むことを許されているみたいだ。


しかし・・・である。いろいろ洋裁にはまり、始めた当初はポータブルで充分だったが次第に作業性を考えたりすると広めのテーブルなんかが欲しくなる。身の回りの小物やトートバッグ、カーテン、ジーンズ、シャツ、今回はパジャマを作ったがさすがに狭いとしんどいし広い作業台の職業用でも狭く感じることがある。

ミシンを始めた当初はまさか自分がここまでの到達点にたどり着くなどと思わなかった。想像力が乏しかった。しかし、最初から台付きの職業用ミシンなど到底使えないし、やはりいろんな家庭用ミシンを使い、経験を踏まえることの面白さやミシンへの考えも時々に変わってきたのだと思う。急がば回れとよく言ったもんだ。

多くの人、初心者の人などが家庭用ミシンの1万円~4万円程度のミシンで始めてみるのと変わりは無いのかもしれない。次第に腕を上げ、欲が出て少しスペックの上位モデルへと乗り換える。そうなると、「2万円のミシンなんて、おもちゃだょ~」などと、卒業者が新入生にえらそぶるのだ。

と言うことは、たとえ2万円のミシンでも、その人にとっては大切な相棒であって、それよりちょっっといいミシンを使っているからと上級者が「2万円のミシンなんて云々・・・」はみっともないような。誰でもそんな経験あるわけだから。

誰でも最初は何事も初心者なのだ。

そんなあなたもいつの日か、工業用ミシンを家庭においている。ミシン部屋まで作ったりして。






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