日本でのミシンの歴史は18世紀末ごろヨーロッパ、アメリカから入ってきたみたいで、ドイツ製ミシンを下取りしてシンガーを売り込み、下取りしたミシンは再び使えないくらいに壊してシンガーミシンを普及させたのが19世紀初頭という。
アメリカやヨーロッパで設計開発されて、アチャラの規格だったのを戦後、国内統一規格JISで防衛しながら国内メーカーを育成したことが功を奏して今のジャノメやブラザー、JUKIなんかが生き残っている。
図書館で借りた、ジャノメ史にはジャノメの創業当時のことや戦後の社内抗争(だろう)も記録され、ミシンにかかわる歴史に興味をそそられた。
最近特に注目しているのは、そんな歴史から見える物づくりや経過だ。
断片的ではあるが、俺の子供時分、リッカーがそこかしこと看板をかけ、ミシンといえばリッカーだった。母親のミシンはジャノメだが、ブラザー、東京重機なんかもあったろうが、俺の散歩道にいつもある看板は「リッカー」だった。
リッカーはセンセーショナルに倒産した。
自分としては三光汽船と並ぶ、大事件だった。
その後、バブル期があり、その崩壊が訪れる。(雑な経過だが俺の記憶だ)
ミシンが売れた時代から、売れなくなった時代。
(言い換えると、もっと魅力あるほかの品物があふれ出した時代)
歴史として、そのころからミシンのおとり販売なるものが現れたのか。関西ミシンセンターとか、ソーイングハウスなどという企業名が出てくる。しかも、残党がしたたかに地下活動しているとかいないとか。
もともと、ミシンは婦人の使用率が高く、婦人は基本的にメカに疎い。メカであるミシンを販売・修理するのはどちらかといえば男だから、構造的にはおとり販売とか、詐欺まがいのミシン販売契約を仕掛けてくるのは男であって、その犠牲者の大半は婦人だったのだろう。
「ミシンの迷信」というサイトがいまでもそんな事柄について記録されているのも面白いもんだ。
2018年現在では、ミシンは以前ほど更に売れない時代だと言われている。(らしい)
家庭用ミシンの有名三大メーカーのフラッグシップモデルなら20万から30万くらいか。
ヨドバシカメラで売れ筋、3万から4万くらい。
世間にミシン販売店の看板が影を潜め、いわゆる高価格帯の2、30万のものは売れない。ましてやミ迷信に書かれている詐欺まがいの仕事はいまどき後ろ指差されるし露骨な不正販売はできにくくなっている。
落ち着くところはヨドバシカメラなんかの家電量販店とネット販売、ミシン専門店、手芸店なんかとでそれぞれの性質を知った上で買われていく。
俺はヤフーオークションで中古ジャンクを落札し、故障しているとか、何らかの瑕疵を承知で取引するが、取引自体も遊びだからいい。
真剣にミシンを使いたくてそこそこの価格で落札して届いた品物は期待を裏切り動かない、だまされた!なんて普通の話。だますほうが悪いのだが、ネットなどの個人間取引は
そんなことがある。
物価から見ると、大卒初任給で、昭和の戦後にミシンは3倍とか4倍だったから、今のミシンは価格だけ見ると落ち着いたというべきか。
電子ミシンに始まり、コンピューターミシンに寄り道して、今は足踏みミシンにモーターを搭載している。
つまり、世間の産業の発展とは逆の方向に向かいつつあるようで自分としては最先端の家庭用ミシンを所有したいという気持ちとは裏腹で、洋裁をすることと、その道具であるミシンの整備・保全をすることが最近のたどり着いた「踊り場」といったところである。
向かうべきところがまだわからない。
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